今月から毎月1回、当院の依存症を専門とする医師によるアルコール依存症に関するコラムを掲載していきます。

第6回 アルコールと健康障害⓵ 肝臓 令和3年9月16日

今回は、お酒による健康障害の代表、肝臓についてのお話です。「お酒を飲みすぎると肝臓を悪くする」のは知っていても、詳しくは知らない方が多いと思います。今日は、詳しくご説明いたします。

お酒は細胞にとっては弱い毒ですので、お酒を飲みすぎると、肝臓の細胞が破壊されます。
どれぐらいの肝細胞が破壊されているかは、血液検査でわかります。血液検査のAST(GOT)、ALT(GPT)の数値をみます。AST、ALTが高いと言われた場合、たくさんの肝細胞が失われていることを意味します。
AST、ALTの正常値は、30~40程度です。これは、30~40程度は、自然と細胞が死に、その分新たに再生するということを意味しています。髪の毛やつめが伸びて、抜けていくのと同じです。仮に、ASTが200だったとしたら、回復する30~40との差、つまり160~170の肝臓の細胞が失われていることを意味します。

では、細胞が失われた肝臓はどうなるのでしょうか?肝臓の再生が間に合わないダメージの場合、肝細胞に代わって、繊維(せんい)細胞という、役立たずの細胞が代わりに増殖します。繊維細胞はすぐに増えて、スペースを埋めてくれますが、肝臓本来の機能はありません。皮膚でも、小さな傷は、皮膚細胞が再生しますが、大きな傷の場合、皮膚細胞が間に合わず、代わりに繊維細胞が増殖します。これが、傷跡としていつまでも残るわけです。繊維細胞は本来の細胞よりも硬いため、肝臓のダメージが蓄積していくと、徐々に繊維細胞に乗っ取られて、肝臓自体が硬くなってしまいます。この状態を肝臓の繊維化といいます。

さらにお酒を飲み続け、繊維化が進行すると、いわゆる肝硬変となります。
肝硬変になってしまうと、残念ながらもう元には戻りません。血液検査だけでは肝硬変かどうかはわかりません。
超音波(エコー)の検査でわかります。血液検査の結果、AST、ALTが高い方は、これ以上肝細胞が壊れないようにお酒を減らしてみてください。

【過去のコラム】
・第1回「長崎はのんべぇが多い!?」(令和3年4月30日)
・第2回 覚えてほしい「ドリンク」という単位(令和3年5月24日)
・第3回 ドリンクランキング(令和3年6月18日)
・第4回 飲酒目標について(令和3年7月21日)
・第5回 飲酒日記のススメ(令和3年8月11日)

最近の記事

  1. 梅ゼリー

    2021.09.27

おすすめ記事

  1. 穐山弘明監督