こんにちは。薬剤部の穐山です。
今回は第8回『薬物依存とはなんぞや』についてお話していきます。
薬物依存とはどういった状態でしょうか?何が原因なんでしょうか?
具体的にどういった薬物が原因なんでしょうか?
意外と難しいこの質問。簡単に説明します。
まずどういった状態か。
快感を得たり気分を変えたりすることを目的に薬物を繰り返し使っているうちにコントロールがつかなくなったり、様々な問題や悪影響が起きても修正できなくなった状態です。
ようは『心がいつも薬物にハイジャックされている状態』になります。
次に何が原因なのか。
薬物は快感や多幸感を得たり意欲を高めたり不安・緊張を軽減する目的で使われます。
その効果を強く感じると繰り返し使用し、薬物のもつ依存性から止められなくなるのが原因です。
最後に薬物依存になる具体的な物は何があるのか。
これは主に、①モルヒネ・ヘロイン・鎮静薬・アルコール・大麻②覚せい剤・コカイン・ニコチン、LSD、MDMAなどがあります。なぜ①と②に分けたのかというとこれは脳の働きを抑えるものと興奮させるものに大別され、①が抑制、②が興奮になります。
また、薬物依存になると何が問題になるのか。
乱用を繰り返すことにより、興奮状態や幻覚妄想状態、意識障害、社会的問題や犯罪、自殺などが起きます。ただし、最も重要な問題は、ストレスに弱くなり、当たり前にできていたことができなくなっていくことです。
この『当たり前にできていたことができなくなっていく』というのは、現実の問題に向き合って悩み考え、人に相談して何とか乗り越えて自信をつけていくという経験をせずに、薬物使用によって気分だけ変えて問題に向き合わなくなるということになります。
ちなみに昔は薬物中毒いわゆる薬中と言われていましたが、薬物依存と薬物中毒は似て非なるものです。
薬物中毒は体の中に原因となる薬物がある状態なのでそれが出てしまえば治まります。
しかし、薬物依存は体の中に無くても、以前薬物をよく使用していた場所や一緒に使用していた仲間と出会ったり、薬物を使用するためのペットボトルの水を見ただけで薬物の欲求が蘇ることがあります。
これが薬物中毒と薬物依存の違いです。
今回は第8回となる『薬物依存』についてお話しました。
次回は『精神依存と身体依存の違い』についてお話します。