今回は、前回の肝臓に引き続き、お酒による健康障害のお話です。体の上から順に見ていきましょう。
まずは、脳についてです。毎日お酒を飲む習慣がある場合、脳出血や脳梗塞のリスクが高まります。また、お酒は認知症になるリスクを上げます。アルコールと認知症についてはまた別の回で詳しくご説明いたします。
食道がんや喉、舌のがんも増えます。喫煙者の場合や、お酒を飲むと顔が赤くなるタイプの人は、食道がんなどのリスクがさらに高まります。
女性の場合、乳がんのリスクも上げてしまいます。腹部では肝臓以外に、膵臓にもダメージを与えます。膵臓は、血糖値を下げる働きのあるインスリンというホルモンを分泌する働きがあります。大量飲酒は、インスリンの分泌を減らすので、血糖値が上がり、糖尿病を悪化させます。
カロリーを抑えるために、ビールを焼酎に変える方もいますが、これはかえって逆効果になります。確かに摂取カロリーは下がりますが、ビールのアルコール濃度5%が焼酎だと25%になってしまい、反対に純アルコール含有量は増えてしまいます。純アルコールが増えればその分、肝臓や膵臓への負担が大きくなるため、結局血糖値は上がってしまいます。
足を見てみると、痛風があります。尿酸値やプリン体が高いことを気にして、ビールや日本酒を焼酎に変える方もいますが、これも同じことが言えます。
プリン体は減るかもしれませんが、純アルコールは増えるため、結局体への負担は大きくなってしまいます。同じビール同士のままで、カロリーオフやプリン体オフの商品に変更する分には、純アルコールは増えずに済むため、体への負担を減らすことはできます。
健康のためには、お酒の度数は上げないことが鉄則です。ほかにも、全身に影響を与える病気では、高血圧、脂質異常も、お酒の飲みすぎで悪化してしまいます。
WHOは、アルコールは60以上の病気の原因になると言っていので、酒は百薬の長ではなく、万病のもとですね。