今回は、お酒と認知症の関係についての話です。高齢社会を迎えた日本では、皆様にとっても認知症は身近な病気であり、関心が強いでしょう。
結論から言うと、お酒は脳の老化を促進させます。アルコール依存症の人は、30代からすでに脳の萎縮が始まる場合もあります。アルコール依存症の人は、脳の老化が20~30年早まると言われています。
つまり、実際の年齢は50歳なのに、脳の年齢は70~80歳相当になります。これでは、いつ認知症になっても不思議はありません。
アルコール依存症の方だけが認知症のリスクが高まるわけではありません。
飲酒習慣がある人は、そうでない人に比べて、脳出血、脳梗塞のリスクが高まります。飲む量が増えるほど、脳出血、脳梗塞のリスクも高まります。週に4回以上お酒を飲む方は、週に3回以下の方に比べて、無症候性の脳梗塞、いわゆる「隠れ脳梗塞」が多いことが我々の研究でも解っています。
隠れ脳梗塞は、将来の大きな脳梗塞、つまりマヒが残るような脳梗塞が起こりやすくなっている状態です。
では、もうどうしようもないのでしょうか?いいえ、出来ることがあります。
お酒によって縮んだ脳は、お酒をやめることで、元に戻ることも解っています。
1年断酒をした方は、年齢相応の脳に回復することが多いです。
健やかな老後のために、認知症予防のために、休肝日を増やすなど、できるところからやってみてください。